CSS Nite 手を動かす前に考えておくこと-part2
AI要約
地方紙サイトにおけるコアバリューの探索
今回の内容は、四国新聞社のオウンドメディア“讃岐うどん遍路”をリニューアルしようと思ったきっかけと、それを元に行ったUX面での改善に関する内容とアクセス解析についてです。
まず、讃岐うどん遍路は2000年頃から、食とメディアを掛け合わせたwebサイトとして始まりました。
四国メディアの中でも、食とメディアを掛け合わせたサイト“讃岐うどん遍路”は“讃岐うどん”と検索すると上位に表示されるほどSEO的にも成功しています。
今回リニューアルしたとはいえ、いきなり讃岐うどん遍路をリニューアルしようと考えたわけではなく、今後自分たちの会社がどうなっていくのかということを見直そうと考えた結果、決断に至ったそうです。
手法としてはサイトをリニューアルする際、お客様にニーズがあるキーワードを絞り込んだ後、アクセス解析から見込みのあるキーワードを抽出。そして各デバイスの流入数を解析後、社内共有を行い、デザイン・レイアウトを考えていったそうです。レイアウトを考える上でもやはりアクセス解析は重要な指標なのでしょう。
ここで少し、アクセス解析を行う上での注意点について説明されていました。
常に下の項目に注意しながらアクセス解析を行っているそうです。
・新規のユーザーは記事からアクセスする
・TOPページからアクセスしているのではない
・記事にアクセスしたユーザーがTOPページに戻ることはあまりない
・新規ユーザーの殆どは直帰する
上の点を考慮した上でレポーティングを行っているそうです。
確かに思い当たる節はあります。
<数値から見る読者>
“数値を集計することがアクセス解析ではなく、仮説を立てることが本当の意味でのアクセス解析。つまり定量的なものを定性的なものに変えていくことがアクセス解析”
とのことです。
アクセス解析を行った結果、結局自分たちがやりたいと思っていた“コアバリュー”が響いていないことが判明し、サイトのリニューアルを考えたそうです。
リニューアルするのであれば、施策による成果をモノにするために、まずは小規模なリニューアルから行い、得られた結果を元に一つ一つ検証していったそうです。
手法としては一気にリニューアルはせずに、HTMファイルをCSS3に書き換えることを考えたそうです。見た目は全く変えず中の構造だけを変える“リファクタリング”を行ったみたいです。
アクセス数を多く占めるページを優先的にリニューアル
当時、うどん店紹介ページと印刷用ページ(印刷用としてページの中に地図が貼られたページ)を設置していたそうですが、いずれもアクセス全体で40%を占めていたことから優先的にリニューアルを開始したそうです。そして、この2ページに関しては特に時間をかけたそうです。
ここでは施策による変化を検証するため、一気にリニューアルせずに小さな変化を検証していったことがいかに重要であるのかが伝わってきました。実験と実験結果を比較するためにはその他の条件を同じにしなければならないのと同じことがいえますね。
英さんは、実際にどのようなユーザーがアクセスしているのかを数値で比較し、下の3セグメントに分けて考えたそうです。また、いずれにも特徴が見られたそうです。
・計画的なタイプ
・旅行中の人たち
・放浪している人たち
最初から上のセグメントに分類していたわけではなく、仮説・検証を繰り返した結果、上の3セグメントに収束したそうです。
名村さんと同じく、英さんも四季報から一部の情報を収集しているそうです。
“サイトを作るとき、サイトのユーザーにインタビューしてみましょう”
下層ページを見ることで、ユーザーがサイトに対して何を考えているのかを把握するよう意識しているそうです。
例えば、うどんを今すぐ食べたい人であればSNSで写真をアップロードしたいでしょう。こういった人たちは殆どがモバイルユーザーです。一方、調べてからうどんを食べに来るユーザーの場合PCユーザーが多く、周辺の観光情報なども調べている可能性があるでしょう。
このように、口コミサイトなどの場合、下層ページに遷移したユーザーが何に困っているのか、何に満足しているのかを読み取ることができるそうです。
確かに納得できます。
上のような視点を意識すれば、お客様に満足してもらえるようにレポーティングができるのではないでしょうか。
そして更に、英さんは旅行中やデート中のユーザーに対して下のことを意識してサイトのレイアウトを考えたそうです。
・行き先が営業時間内であるか
・定休日になっていないか
・飲食店の電話番号が分かりやすく見えるように工夫する
上の内容がすぐに確認できるようにレイアウトを工夫し、更にはユーザビリティ向上のためページ表示速度を意識したそうです。
<KPIの設定>
通常KPIとしてPVであったり、ユーザー数などが評価軸として設定されがちですが、そうではなく“ユーザーが最後まで読んでくれているのか”といったことや“じっくり読んでくれているのか”といったことを細かく調べたそうです。特にスクロール率の向上を入念に見ていき、注力したそうです。
その結果、モバイルで最適化を行ったページに関しては新規のセッション率が驚くほど向上したそうです。
まとめ
自分たちのコアバリューが何なのかについて手を動かす前に考える。ある程度分かっているであろう数字に関しては、仮説と肉付けをする。
そして、取り組もうとしているサイトのユーザーはどんな人なのかを納得できる分かりやすいドキュメントで可視化すること。下のようにまとめることができます。
・コアバリューの確認と共有
・ユーザーの人物像を可視化する
・KPIの事前設計
最初からKPIを明確にし、それを実現するためにはどんなツールで、どういう仕組みでやっていくのかが重要といえるでしょう。