CSS Nite 手を動かす前に考えておくこと-part3
AI要約
“デザインしないデザイナー”の肩書きを使い始めた理由
後藤さんは企画設計を得意とし、主に、広告やSNSでの就職活動支援に関するアドバイザーとして活動しているそうです。
昔、衰退していく会社を自らが提案したチラシで黒字化につなげた成功体験を持つそうです。そして現在は、webデザイナーとして活躍されています。
web制作の効率化が進んでいるこの頃、他社と差別化できるようなサービスを見出せていない会社も少なくなく、背景としては多くのテンプレートがデータとしてインターネット上に出回っていることがあげられます。
そして、最近では制作会社に依頼しなくとも驚くほど高いクオリティのwebサイトを制作することのできるプラットフォームなども登場しているため、如何にして付加価値をつけていくかが制作会社にとっての課題となっているそうです。
webサイト制作とAIの浸透
後藤さんが最近注目しているものが“AI”。その中でも、未だ一般化していませんがwebサイトのレイアウトを自動で作成してくれるサービスというものがあるようです。しかも驚くべきことに、写真のトリミングやタイポグラフィなども全て含めて自動で行ってくれるそうです。
一般化するまでには少し時間を要するので暫くの間は仕事を奪われないかもしれませんが、技術的には文章・画像に関してはAIができるところまできているため“創れることの価値”はこれからどのようにシフトしていくのかがwebデザイナーの人たちにとっては少し怖いところなのではないでしょうか。
更に、画像だけではなく文字をチェックするツールもあるそうです。
この“文字チェックツール”に関して後藤さんは“有名な政治家のスピーチを文字におこし、プレスリリースとして自動配信する時代が来る”とさえ予想していました。
そして、一部の会社は既にこの“文字チェックツール”を導入していることから、AIの浸透は既に加速してしまっているのかもしれません。
後藤さんはここで、ツールを使って何かを作ることに価値を見出すのではなく、その先に何があるのかを考えていく必要があると述べていました。上にあげたようなAIツールが登場していることからも、おそらく後何年かすると仕事の内容は当然変わってくるでしょう。
現在のデザイナーの仕事は“画像を加工する”ことや“レイアウトを整える”ことが多く、まだ価値を見出せる状況にありますが、今後はそういった作業的な面ではなく、如何にして課題を発見し、成果に繋げることができるかということに重点が置かれるようになるようです。
資本金の少ない中小企業を例にとってみると、web制作会社に依頼することは大きな出費となってしまうのは間違いありません。また、制作にかける十分な予算がない場合、制作会社に依頼するのではなく自社で制作を行い、費用を削減したほうが賢いかもしれません。
したがって、インターネット上に出回っているテンプレートを活用し、制作の全てを自社で済ませてしまうことも考えられます。こういった背景があることから今後、制作会社に依頼しない会社がさらに増えていくのではないかと危惧していました。
“作れること”自体の価値の低下
悲しいことに、これだけ日常的にサイトを見る時代になってしまった今日、デザイン一つでwebサイトの成果が大きく変わるとはなかなか考え辛いというのが現実です。
やはり、ユーザーにとって“良いサイト”とはユーザーにとって有益なコンテンツを含むサイトであることは変わらないようです。
よって今後は、webサイトのデザイン自体が重要なのではなく、サイトの問題にアプローチするための戦略を立てることや、マーケティングの結果から見込みのあるページに対して企画提案していける能力が重視されるとのことです。
後藤さんは、こういったことをより強く意識し、実践していくためにはコミュニケーションにコストをかけることが重要と述べていました。
“コミュニケーションにコストをかける”とは
ここで“コミュニケーションにコストをかける”と聞くとコンサル会社の業務と思われてしまうかもしれませんが、ただヒアリングを行うだけではありません。数十万円単位でお金を賭け、裏づけとなる課題を調査した上でコミュニケーションに時間を費やし、企画提案に移るそうです。一見するとお金を賭けすぎているようにも思えますが、やはり長い目で成果を出し続けていくためには多少、市場調査にお金をかけることも重要なのではないでしょうか。
これからwebデザイナーに求められる能力とは
“webデザイナーの仕事内容は“何かを作る”ことに意識が向いてしまいがちですがそうではなく、ビジネスそのものをデザインしていくということをはっきりと打ち出してもいい”
人によってデザインの捉え方は当然異なるため、そういった部分を上手く繋げていくことができる能力が求められるのは確かです。しかし、あまりにも制作一色に意識が向き過ぎると危険ということではないでしょうか。web制作のスキルはもちろん大切ですが、一般の方々が考える“単に作れる人”ではなく“作るためにはどうすればいいのか考えられる人”が今後web制作で価値を見出すことのできる人材になっていくということでしょう。それが今回の議題“手を動かさないデザイナー”なのではないでしょうか。
まとめ
先述の通り、現在ではインターネット上に多くのテンプレートが出回っています。webサイトを制作するスキルはもちろん重要ですが、制作することでどのような未来を実現することができるのか考えることの方が重要です。テンプレートを有効活用することで時間と経費の削減に繋げ、単なるwebサイト制作の領域を超えた一歩先の視点まで見据えることができるデザイナーが今後求められる人材なのではないでしょうか。